寒さに凍えるような季節は、アウトドアだけでなく室内でも十分な暖かさを確保したいものです。とはいえ動きやすさも確保したいですよね。そんなときは、電気の力を使いながら暖かく過ごせる「ウェアラブルヒーター」を使った製品を取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事ではウェアラブルヒーターの特徴や種類、おすすめの新しい温熱素材などをお伝えします。ぜひ参考にしてくださいね。
ウェアラブルヒーターとは
ウェアラブルヒーターとは、電熱線などの発熱する素材を使って元々の素材以上の暖かさを提供できるヒーターのことです。ブランケットやひざかけ、ベストなどの衣類や雑貨に搭載して使用されます。
ウェアラブルヒーターを活用するメリット
ウェアラブルヒーターを利用するメリットとは何でしょうか。それは主に2点あります。
衣類だけの場合よりもさらに暖まる
まず、衣類など素材そのものよりも、体がさらに暖まることです。ダウンジャケットやカシミヤコートなど、素材だけでも暖かい素材は多くありますが、それでも極寒のときは不十分さを感じます。また素材によっては、暖かくしようとするほど重くなったりかさばってしまったりすることも。
しかしウェアラブルヒーターなら電気の力を使えるので、素材そのままよりも格段に暖かくなります。
エアコンやファンヒーターと比較して電気代の節約になる
次に、電気代の節約につながりやすいことです。寒い時期に利用するエアコンの暖房やファンヒーターは、その利用環境にもよりますが、比較的電気代が高くなりやすい機具です。特に広い部屋でエアコンを効かせた場合、暖かさを感じるまでに時間と電力がかかります。
一方のウェアラブルヒーターは、体の近くで発熱するため、少ない消費電力でも効果的に暖まるのが特徴です。ウェアラブルヒーターを生活に取り入れることで、結果的に電気代の節約にもつながるでしょう。
ウェアラブルヒーターの種類
利便性の高いウェアラブルヒーター。現在よく販売されている商品だけでも、これだけの種類があります。
- 電気ブランケット・電気ひざかけ
- 電熱ベスト
- ネックヒーター
- ウェストヒーター
- 電熱マフラー
- ヒーター手袋
- ヒーターチェアカバー
それぞれの特徴や利点を簡単にご紹介します。
電気ブランケット・電気ひざかけ
最もポピュラーなウェアラブルヒーターといえば、電気ブランケットや電気ひざかけです。暖かいニット地やフリース地などの中にヒーター部分が挟み込まれていて、電源を入れるとポカポカと暖まります。
さらに大きなサイズとして、就寝時に使用する電気毛布もあります。使用するシーンに応じて、適したサイズの製品を選ぶとよいでしょう。
電熱ベスト
電熱ベストは、ダウン素材やウール素材でできたベストに、ヒーターが仕込まれている製品です。寒い時期のアウトドアシーンや、寒い朝にエアコンが効くまでの間などに活躍しています。
よく「ベストだけで暖まるの?ジャケットの方がいいのでは?」という声も聞きますが、相当暖かくなるのでベストで十分だと感じます。外気が気になるときは、ベストの上からジャケットやコートを羽織るのがおすすめです。
ネックヒーター
首を直に温められるのが、ネックヒーターです。首は外気に触れやすく、冷えやコリが気になりやすい部位。そこに暖かさを直接届けられるのが、この製品の魅力です。
ウェストヒーター
首と同様に冷えやコリ、痛みに悩まされやすいのが腰部分です。ここに直接熱を届けられるのが、ウェストヒーター。痛みの強い方も、熱の力で痛みを和らげられるかもしれません。
また素材によっては、腰を支えてくれる機能も期待できます。腰が気になる方はぜひ手に取ってみてください。
電熱マフラー
普通のマフラーではしのげない寒さになってきたら、電熱マフラーを利用してみてはどうでしょうか。通常の素材に加えて電気の暖かさがあるので、薄い素材でも十分に暖まります。シンプルなデザインの製品が多いので、ビジネスシーンでも活躍しそうです。
ヒーター手袋
寒い時期に手がかじかんだら、ヒーター手袋の出番です。手先は末梢神経が多くて特に寒くなりやすい部位。通常の手袋にはない暖かさが得られます。寒い雪山でのレジャーや仕事にも最適です。
ヒーターチェアカバー
これは厳密には着るものではありませんが、椅子にかけて使用するヒーターチェアカバーも販売されています。このヒーターチェアカバーを使えば、高級車のヒーターシートさながらの暖かさが期待できますね。
ウェアラブルヒーターの注意点
さまざまな形で暖かさを届けてくれるウェアラブルヒーター。使用する際は、いくつかの注意点があります。それぞれ説明しましょう。
低温やけどのリスク
まず、ウェアラブルヒーターには低温やけどのリスクがあります。低温やけどとは、体温より少し高めの44度から50度程度の物質や製品に長時間触れることで起こるやけどです。
「高温のやかんに触ってしまった」など、高温で起こるやけどの方が重傷化する印象があるかもしれませんが、実は怖いのは低温やけどの方。低温やけどは少しずつ受傷するので、気がつかない間に深い部分までやけどしてしまうことがあるのです。
ウェアラブルヒーターは40度程度になる製品が多いので、長時間の使用は控え、定期的に電源を落とすなどの工夫をすると安心でしょう。また直接肌に触れずに使用することを徹底すべきです。
脱水症状のリスク
次に、脱水症状のリスクもあります。寒いときは水分補給が疎かになることがありませんか?そうすると体内の水分が不足しがちになります。そしてウェアラブルヒーターによって、水分が汗となって体外に排出されやすくなってしまうのです。
ウェアラブルヒーターを使用する際は、定期的に水分を摂るようにしましょう。
電熱線の断線リスク
ヒーター部分に「電熱線」という発熱する金属線を使用している場合、ウェアラブルヒーター使用中の断線リスクがあります。電熱線は金属なので折り曲げに弱い性質があり、長く使用するほど折れてしまう可能性が高まるのです。 ヒーター部分はデリケートなため優しく扱い、折り曲げるなどの負荷を与えないようにしましょう。そして古くなった製品は使用しない方が安心です。
新しい温熱素材「CNTフィルムユニット」
今後ウェアラブルヒーターへの搭載が期待されているのが、新しい温熱素材である「CNTフィルムユニット」です。これはどのような素材なのでしょうか。
CNTとは
まずCNTとは「カーボンナノチューブ」のことです。この素材は炭素からできていて、とても薄いのに丈夫という特徴があります。また金属ではないのに熱伝導性が高いので、電熱線に代わる温熱素材として活用されています。
CNTフィルムユニットとは
カーボンナノチューブの特性を活かし、温熱素材として製品化しやすいように作られたのが「CNTフィルムユニット」です。これを開発したのは、中国企業のJERNANO(ジェイナノ)。すでに中国国内では複数の特許を取得し、日本支社も設立。今後は日本での製品展開を行う予定です。
CNTフィルムユニットの特徴
新しい温熱素材であるCNTフィルムユニット。その特徴はさまざまです。今回はこのうち4つを紹介します。
特徴1. 瞬足発熱
CNTフィルムユニットは、5マイクロメートルという極薄のシート状になっています。このシートの一端から電気を流すと、一面が最短1秒で発熱します。まさに「瞬足発熱」が可能です。
この特徴によって、「なかなか電気毛布が暖まらない……」などの不満が解消されるでしょう。また温度ムラも起こりにくいので、均一な暖かさが期待できます。
特徴2. 超軽量や布のような柔らかさ
CNTフィルムユニットは極薄なだけでなく、超軽量。その重さは、1㎡あたり5g程度です。通常のTシャツ素材でも1㎡あたり100〜150g程度なので、いかに軽いかがわかります。
さらにカーボンナノチューブの弾力性を活かし、布のような柔らかさを実現しました。よって薄手の素材や伸縮性のある素材にも対応できるとされています。
特徴3.低温やけど回避機能や脱水症状を防ぐ安全機能がある
低温やけどや脱水症状が起こる可能性がある、というウェアラブルヒーターの弱点を解消するため、CNTフィルムユニットには安全機能が搭載されています。
具体的には、一定の時間に使用すると電源が自動的にオフになる機能や、異常な電流が流れた際に電源を落とす機能などです。こうした機能を製品に活用すれば、より安全性の高いウェアラブルヒーターが作れます。
特徴4.Bluetoothによる遠隔操作可能
CNTフィルムユニットには、Bluetoothによる遠隔操作もオプションとしてつけることができます。ウェアラブルヒーターは操作するためのコントローラーが邪魔だと言われることもありますが、Bluetoothから操作できることで、このコントローラー問題は解決するでしょう。
まとめ
電気の力を使って、寒い時期に体をより暖かくしてくれるウェアラブルヒーター。上手に活用して寒い冬を乗り越えたいものです。今後はCNTフィルムユニットを使った製品も発売されるでしょう。ぜひお手に取ってみてくださいね。