暑い季節の屋外作業などの必需品といえば、空調服です。温度が高い場所でも快適に作業することができます。
そんな空調服を選ぶポイントとは何でしょうか。また最近は、空調服に付けられるヒーターユニットも発売されています。この記事では空調服の選び方や注目の温熱素材について解説しますので、ぜひ購入の際の参考にしてください。
目次
空調服とは
暑い夏を乗り切るために必要な空調服。まずはその基本的な事柄から解説します。
空調服とは
空調服とは、服についている小型ファンによって服の中に外気を取り入れ、体の表面に大量の風を流し、快適さを提供する製品です。主にジャケットにファンが取り付けられていて、汗をかいても気になりにくいのがメリット。炎天下でも長袖・長ズボンで作業を行う工事現場の方などが着用しています。
ちなみに空調服が開発された初期の頃は、空気ではなく水で体を冷やす「水冷式」だったそう。それが改良され、今では空気によって熱を逃がす「空冷式」に変わりました。
空調ズボンとは
空調ズボンは、小型ファンがついている作業用ズボンのことです。ジャケットだけ空調服を利用される方もいますが、ズボンにもファンがついているとより涼しくなります。炎天下での作業が続く場合は、空調ズボンも利用するとよいでしょう。
快適な空調服の選び方
暑い時期の作業をより快適にするために、空調服を選ぶ際のポイントを3つお伝えします。
- バッテリーの電圧と風量で選ぶ
- デザイン性で選ぶ
- 素材の機能性で選ぶ
それぞれ解説していきましょう。
1.バッテリーの電圧とファンの風量で選ぶ
1つ目のポイントは、バッテリーの電圧とファンの風量で選ぶことです。バッテリーの電圧は高く風量が多いほど、より涼しい状態で業務に当たることができます。
近年販売されている空調服は、8時間はバッテリーがもつ製品が多い印象です。この8時間を下限として、空調服を選ぶとよいでしょう。
ただしハイスペックな空調服ほど、お値段も高額になってしまいます。空調服は替えも必要ですので、一枚だけではなく複数枚購入できるような価格帯の製品がおすすめです。
2.デザイン性で選ぶ
2つ目のポイントは、デザイン性で選ぶことです。空調服には半袖や長袖、ベストタイプの製品があります。作業の内容に合わせて、安全性を損なわないような空調服を選ぶとよいでしょう。
3.素材の機能性で選ぶ(軽い、撥水加工など)
3つ目のポイントは、素材の機能性です。
まず空調服の素材には、綿100%やポリエステル100%などの製品があります。しっかりとした生地で丈夫な綿素材や、軽くて水濡れにも強いポリエステルなどから、お好きなものを選んでください。まれに、ファッショナブルなデニム素材の空調服もあります。
次に機能性に関しては、撥水加工の生地や肩パットがついているもの、ハーネス対応のものなどが販売されています。水に濡れやすい現場の方は撥水加工が、高所作業の方はハーネス対応が必須でしょう。作業内容に合わせ、安全性が確保できる空調服を選びましょう。
空調服の寿命はどれくらい?
通常のアパレルよりも比較的高価な空調服。なるべく長持ちさせたいですよね。空調服はどれくらいの間使用できて、故障時はどのような対応をすればいいのでしょうか。
服、バッテリー、ファンの寿命の違い
空調服は、服そのものとバッテリー、ファンという3つが揃って機能します。よってどれかひとつでも壊れたら、修理や買い替えの対象となってしまいます。
まず空調服は、バッテリーやファンよりも比較的長持ちします。服が破れなければ、10年ほどもつ場合もあるでしょう。よって空調服の寿命はバッテリーとファンに左右されます。
そのバッテリーの寿命は、2〜3年程度といわれています。空調服で使用するモバイルバッテリーは約500回充電できるとされているので、半年使用し、1日1回充電すると考えると、だいたい2〜3年で寿命が来る計算です。
なおバッテリーは、保管しておく際にも自然放電によって少しずつ寿命が短縮していきます。特にバッテリー残量がゼロの段階で保管しておくと、急速に消耗してしまうのでご注意ください。しばらく使わない場合は、30%程度は電池がある状態で保管するのがおすすめです。
それからファンの寿命も、一般的には2〜3年程度です。大切に使用すれば、5年ほどもつことがあります。ファンの変形による異音が生じたら、ファンの交換タイミングです。また「前よりも冷却効果が弱まったなあ」と感じた際も買い替えの時期といえるでしょう。
故障してしまったときの対応は?
もし空調服が故障してしまったら、まず故障原因を特定します。意外と多いのが、コネクタがうまく差し込まれずに接触不良になっているケースです。まずはコネクタ部分がしっかりと差し込まれているか確認してみてください。
またファンの羽が汚れた場合に、取り外して水洗いするなどの行為は避けた方がよいです。ファンを外すとファンの軸がズレて動作不良を起こす原因になります。水洗いも故障の原因になるため、柔らかい布や綿棒などを使って汚れを拭き取るとよいでしょう。
バッテリーが作動しなかったり、ファンが折れ曲がっていて正常に作動しなかったりする場合は、買い換えなくてはいけません。
春先に新商品が発売しやすい。予備を購入しておこう
空調服は日々使用するものなので、予備分も常備しておくと安心です。突然故障してしまったから明日までに新しい空調服を購入しないといけなくても、近隣に売っていないケースも多いでしょう。
空調服の購入でおすすめなのは、春先の新商品を狙うことです。空調服は年々進化しており、新しい製品の方が着心地がよかったり、涼しさがアップしていたりします。また古い製品がセールで売られる可能性もありますので、暑くなる前に予備の空調服を購入しておくのがおすすめです。
空調服が電熱服に!?ヒーターユニットも登場
普段は暑い場所で作業しているけれど、イレギュラー対応で寒い時期にも作業しなければいけなくなった……。そんなときにお手持ちの空調服を活かせる方法があります。それは、空調服に付けられる「ヒーターユニット」を入手することです。
空調服に取り付けられるヒーターユニット
空調服に取り付けられるヒーターユニットとは、生地の内部にヒーターが仕込んであり、背中などをじんわりと暖めてくれる製品です。最近、一部のメーカーから発売されました。
空調服といえば涼しいのが特徴ですが、ヒーターユニットを取り付ければ寒い場所でも作業が可能。空調服の活用機会が広がります。
新しい温熱素材「CNTフィルムユニット」
ヒーターユニットの素材として近年注目を集めているのが、カーボンナノチューブという素材から作られた「CNTフィルムユニット」です。
CNTとは何か
カーボンナノチューブ(CNT)とは、ダイヤモンドなどと同じ炭素からできた繊維状の物質で、非常に軽量で薄く、弾力性がある点など、さまざまな特徴があります。
その素材の有用性は高く、素材の発見後から量産化に向けた研究が行われてきました。しかしそのハードルが意外と高かったため、量産化できるようになったのはごく最近です。
開発元・JERNANO(ジェイナノ)とは何か
今回CNTフィルムユニットを開発したJERNANO(ジェイナノ)は、中国生まれの研究開発組織・メーカーです。この素材の量産化ノウハウなどを中心に、中国で複数の特許を取得しています。
その高度な製品力を武器に、これから世界にCNTフィルムユニットを使用した製品を広めて行く考えです。
CNTフィルムユニットの特徴
CNTフィルムユニットの特徴にはどのようなものがあるのでしょうか。今回はこのうち3つをご紹介します。
すぐに暖まる「即暖性」
CNTフィルムユニットを内蔵したヒーターのスイッチを入れると、最短1秒で設定温度まで上昇します。よくある温熱素材には金属でできた電熱線がありますが、これよりも熱が伝わりやすいのがメリットです。
すぐに体を温めたいときに、この即暖性が役立ちます。寒い雪山の作業時などにもってこいです。
コントローラーで温度調整可能
備え付けのコントローラーで、数段階の温度調整が可能です。またBluetoothと連動させれば、スマートフォンやスマートウォッチをコントローラー代わりにして、温度調整することもできます。よって備え付けのコントローラーが壊れてしまっても安心です。
洗濯機で洗えて衛生的
空調服にヒーターユニットをつける場合、衛生面も気になるところです。ですがこのCNTヒーターユニットは手洗いだけでなく洗濯機洗いにも対応しているため、いつでも清潔な状態で空調服を利用できます。