電気の力で冷えがちな体を包んでくれる「電熱入りブランケット」。仕事や運転中の冷え対策やアウトドアでの防寒具として大活躍します。
しかし電熱入りブランケットは多くのメーカーから販売されており、どれを選べばよいのか悩んでしまいます。そこでこの記事では、電熱入りブランケットの選び方のポイントや、使用シーン別おすすめの電熱線入りブランケットについて解説します。
目次
電熱線入りブランケットとは? その仕組みをわかりやすく解説
まずは電熱線入りブランケットが温かくなる仕組みについて解説します。
そもそも電熱線とは何か
電熱線とは、電流が流れることで熱を発生させる金属線です。代表的な電熱線はニクロム線や鉄クロム線。 電熱線は電熱線入りブランケット以外にも電気ストーブや電気トースター、ヘアドライヤーなどにも使用されています。電気ストーブや電気トースターの電源をオンにすると発熱部が赤く光を発します。この光っている部分が電熱線です。
電熱線が発熱する仕組み
電熱線として使用されるニクロムや鉄クロムといった金属は、電気抵抗が多く電子を通しにくいため発熱するという特徴を持ちます。電子がニクロムや鉄クロムを通過すると、これらの金属を構成する物質に電子がぶつかります。すると金属を構成する物質が振動して熱を発するのです。
では電熱線入りブランケットはどのように選べばよいのでしょうか。「これさえ押さえておけば電熱線入りブランケット選びに失敗しない!」というポイントを丁寧に解説します。
電熱線入りブランケットの心地よさを決める「素材」
電熱線入りブランケットは素肌に触れることもありますので、チクチクしたりざらざらしたりといった肌触りは避けたいもの。フワッと柔らかかったり、触っていて心地よかったりするものを選びましょう。
また素材によって保温性が高いもの、吸湿性が高いものなど特徴がわかれます。素材の特徴をまとめておきますので、素材選びの参考にしてください。
すぐにぽかぽか!「暖まる早さ」
電熱線入りブランケットの暖まりやすさは、電源のパワーの大きさと電熱線の量の多さに左右されます。コンセントで給電するACアダプター式の電熱線入りブランケットは、電熱線が全面に配置されており、比較的早く温まりやすい傾向にあります。
一方でパソコン等から電源を供給するUSB式の電熱線入りブランケットは電熱線の配置が一部に留まっており、早く温まりません。ただしパソコンやポータブル充電器さえあれば使用できるため活用シーンは広がります。
早く温まりたい方はACアダプター式の電熱線入りブランケット、さまざまな場所で活用したい方はUSB式の電熱線入りブランケットを選ぶとよいでしょう。
使いやすさも忘れないで!「機能性の良さ」
電熱線ブランケットは「仕事や勉強をしながら」、「ゆったりとリラックスしながら」など「ながら使い」が多いアイテム。だからこそ使い勝手の良さにもこだわりたいものです。機能性の良さでチェックするポイントは「温度調節のしやすさ」や「洗濯のしやすさ」です。
気温や体調に合わせて電熱線入りブランケットの温度を細かく調整したい方は、「リモコンでの温度調節ができるもの」を選ぶと良いでしょう。
また長期間快適に使えるように、洗えるものを選ぶことも大切。ただし電熱線入りブランケットによっては洗濯機による洗濯を不可としているものもありますので、購入前に確認しておきましょう。
お得に快適な商品を!「コストパフォーマンスの良さ」
電熱線入りブランケットを選ぶ際は、これまで説明した素材、暖まる早さ、機能性の良さを満たしているだけでなく「コスト」も見過ごせません。
多くの電熱線入りブランケットは5000円から2万円弱。大手電機メーカー製のブランケットはすべての項目で優秀ですがコストが高めです。一方で、低コストの電熱線入りブランケットは、暖まる早さや機能性、肌触りのいずれかに難があることも。
予算と相談しつつも、快適性を損なわない電熱線入りブランケットを選びましょう。
電熱線入りブランケットの魅力
電熱線入りブランケットは、購入費とともにランニングコストもかかるため「本当に必要?」と感じることも。しかし電熱線入りブランケットは、通常のブランケットと比較すれば格段に暖かく、生活の質は大幅に向上します。
また電熱線入りブランケットは体のすぐそばに熱源があることから、他の暖房方法よりも比較的省エネです。代表的な電熱線入りブランケットの消費電力は50wから70w。足下ヒーターは60wから200w、電気ストーブは200wから1200wです。他の暖房方法と比較すると、電熱線入りブランケットのランニングコストの電力消費量の少なさがわかります。
室内で使用する電熱線入りブランケットのおすすめは?
室内で電熱線入りブランケットを使用する場合におすすめできるタイプをまとめておきました。
「仕事や家事、勉強やリラックスタイムのお供に電熱線入りブランケットを使いたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
体中を暖かく!ワイドなブランケット
室内で静的な作業を行う際に、電熱線入りブランケットを使用する場合は大きなタイプを選ぶと◎。大きなタイプなら、膝から腰まですっぽりと覆ったり、上半身をしっかり包んだりと、「くるまれた心地よさ」を堪能できます。
触り心地抜群!毛足が長い素材のブランケット
室内で使用するのであれば、毛足が長く触り心地が気持ちよいタイプのブランケットもおすすめです。室内使用であれば汚れはさほど心配せずに済みますので、とことん「快適さ」を重視してもよいですね。
使いやすさ抜群の多機能なブランケット
室内で電熱線入りブランケットを使用する場合は、温度調節のしやすいものやセンサーで温度管理を行ってくれるものを選ぶとよいでしょう。多機能なものはリモコン部分が大きいといった弊害があるものの、室内の使用であれば気になりません。
アウトドアで使用する電熱線入りブランケットのおすすめは?
アウトドアで電熱線入りブランケットを活用する場合は、以下の3点に注目して選びましょう。
取り扱いやすい小さめサイズのブランケット
アウトドアシーンで電熱線入りブランケットを使用するときは、持ち運びや取扱いが容易な「小さめサイズ」のブランケットを選ぶとよいでしょう。
大きなサイズのブランケットは邪魔になり、「せっかく買ったのに使いにくいから……」とお蔵入りしてしまうことも。
ダウン素材のブランケット
寒い屋外で、電熱線入りブランケットを使用する場合は、暖まりやすいダウン素材タイプがおすすめです。ダウン素材タイプのブランケットの中でも、表地がナイロンなど耐久性が高く汚れをはじくタイプのものが最適。ある程度の汚れは、拭き取れば取り除けます。
車で使用するなら「車用ブランケット」
車用のブランケットを選ぶ際は給電方式を基準に選びましょう。車でしっかりと暖まりたいのであれば「シガーソケットタイプ」がおすすめです。シガーソケットから電源をとるため、ACアダプター式のような使用感です。ただし車のエンジンをかけているときのみ使用できます。 一方でUSB式であれば、エンジンを止めている駐停車中でも電熱線ブランケットを使用できます。ただしシガーソケットタイプほどすぐに暖かくはなりません。
電熱線ブランケットによるトラブルも? 注意しておきたい点
電熱線ブランケットは暖かく、他の暖房方法よりも省エネといえますが、注意点もあります。電熱線入りブランケットを使用するときは以下の点に気を付けておきましょう。
脱水症状が起こる可能性がある
電熱線ブランケットを使用していると、通常よりも汗をかきやすくなります。水分を適切に摂取できているときは問題ありません。しかし水分を定期的に摂取できない睡眠中に使用する場合は注意が必要です。
大きなタイプの電熱線ブランケットを使用して眠る場合は、使用を短時間に留めたり、就寝前に多めに水分を摂取したりするなどの工夫をしておきましょう。
低温やけどの危険性も
低温やけどは、40度から50度といった温度が低い熱源に長時間触れていることで、発生するやけどです。44度では3時間から4時間、46度では30分から1時間で低温やけどになるといわれています。電熱線入りブランケットの中には40度を超え50度に到達するものもありますので、長時間使用には十分気を付けましょう。
電熱線の断線による事故が起きることも
電熱線入りブランケットは、断線による火災事故が発生するリスクもあります。電熱線入りブランケットと同じ原理の電気毛布の、ケーブル断線によって民家が全焼する事故も発生しています。
電熱線入りブランケットで事故の原因になり得るのがケーブル部分です。ケーブルを家具の下敷きにしたり、折り畳んだりすることのないようにしましょう。
電熱線に変わる新素材とは
電熱線は電流を熱に変える便利な素材ですが、低温やけどリスクや火事リスクなどをはらんでおり、安心して身を任せにくい素材ともいえます。そこで登場したのが新素材「CNT フィルムユニット」です。
CNTとは、カーボンナノチューブという編み込まれた炭素で作られた極細のチューブ素材です。この素材をフィルム状に加工して、電流を通して暖かくするのが「CNTフィルムユニット」。従来の電熱線にはないさまざまな優れた特徴を有しています。
圧倒的な薄さで快適
CNTは極細のチューブ素材であるため、ブランケットの質感を損ねることはありません。一般的な電熱線入りブランケットのようなゴワゴワ感はほとんどなく、普通のブランケットのような触り心地。暖かさも触り心地も妥協したくない方におすすめできます。
瞬間発熱
CNTフィルムユニットは、一端に電流を通すと全面が瞬時に発熱する「面状発熱」という仕組みです。したがって電源をオンにしたらすぐさま暖かくなり、設定温度に達成するまでの所要時間は約1秒です。待ち時間がほぼゼロで、体を暖められる優秀な素材といえます。
低温やけど回避機能
CNTフィルムユニットには、過電流や過発熱を検知して電流を遮断する機能があります。したがって長時間の使用で温度が高くなりすぎてやけどをしたり、火災が発生したりといったリスクは最小限といえます。
また電熱線入りブランケットの最大の懸念ともいえる低温やけどを回避する機能も搭載可能。就寝中も安心して使用できます。
スマホやスマートウォッチを使用した遠隔コントロールも可能
主な電熱線入りブランケットは、本体に付属したリモコンでコントロールするため、リモコンが体に当たって不快だったり、操作しにくかったりといったデメリットがありました。ところがCNTフィルムユニットはスマホやスマートウォッチのアプリで操作することができます。 リモコンが体に当たらず、なおかつ手元のスマホで操作できる快適さは、一度使えば手放せなくなることでしょう。
まとめ
電熱線入りブランケットは、寒い体をすぐに暖めてくれる優秀なアイテムです。使用シーンに応じて最適な給電方法やサイズの製品を選びましょう。
ただし従来のニクロムや鉄クロムといった金属製の電熱線は、低温やけどや火災事故といったリスクもはらんでいます。
安全かつ心地よい使い心地の電熱線入りブランケットをお探しの方は、新素材・CNTフィルムユニットを使用したブランケットを検討してみるとよいでしょう。