洋服の素材はコットンやリネン、シルクやウールなど実にさまざまです。 同じような外観に見えても、使われている素材によって取扱い方や注意点は異なります。
そこでこの記事では、洋服の素材を一覧でご紹介しながら、取り扱い方や注意点を解説します。洋服の素材の取扱い方にお困りの方はぜひ参考になさってください。
洋服の素材と扱い時の注意点
まずは洋服の代表的な素材の特徴と扱い時の注意点を解説します。
1. しわになりやすく縮みやすい「コットン(綿)」
コットンは綿の種に入っている綿から作られた素材です。コットンは吸水性があり、丈夫で熱に強く、涼しく心地よいといった特徴があります。
一方でコットン100%の洋服は、洗濯をすると縮みやすく、すぐにしわになるといった欠点もあります。
コットンをキレイに保つコツは、「優しく洗い、正しく干すこと」です。洗濯機で洗う場合はネットに入れて弱い水流で洗い、脱水は短時間で。そして脱水が終わったらすぐに取り出して、シワを伸ばしてから干しましょう。これだけで、コットンがキレイに長持ちします。
また、コットンは虫に食われやすく、カビが生えることもありますので、長期保管時は防虫剤と乾燥剤と一緒に保管しておきましょう。
2. しわ、縮み、黄ばみが気になる「リネン(麻)」
リネンは心地よい着心地と美しい人気の洋服の素材です。その反面、洗濯によるダメージでしわや縮みが生じたり、黄ばみや色移りが気になったりする、扱い方が難しい素材でもあります。
リネンの洋服を、購入したときのようにキレイに保つコツは洗濯方法にあります。洗濯する際は以下の点に気をつけましょう。
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3.シミになりやすく薬品に弱い「シルク(絹)」
シルクは光沢が美しく着心地も優れていることから、世界中で高級繊維として愛されてきました。ただし酸やアルカリに弱く、水で縮むなど繊細な素材。扱い方には注意が必要です。
シルクを扱う際の注意点は洗濯とアイロンです。また虫に食われやすいため防虫対策も欠かせません。絹素材の洋服を扱うときは以下の点に配慮しましょう。
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4.毛玉や縮みが心配な「ウール(羊毛)」
ウールは羊の体毛で作られた温かな素材で、冬を中心に古くから愛用されていますが、湿気を吸収するため夏でも涼しく過ごせます。
一方で洗濯すると縮みやすく毛玉ができやすいという扱いにくさを持つ素材です。ウール素材の洋服は以下の点に注意しておきましょう。
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この中でも忘れがちなケアが片付ける前の陰干しです。着用した後は必ず陰干しをしておく必要があります。また毛玉を見つけたときに、指で取り除く行為もNG。繊維が傷んでしまうので、必ずはさみで切り取りましょう。
5.繊細で手洗い必須の「カシミヤ毛、アルパカ毛」
カシミヤやアルパカを素材とした洋服は、ファッション性に優れるだけでなく暖かく着心地の良さは抜群です。ただし天然繊維ならではの扱いにくさもあります。
いずれの素材も、洗濯機での洗濯はNG。また手洗いやクリーニングであっても、ひんぱんに洗うと素材にダメージを与えてしまいます。カシミヤやアルパカ素材のお手入れの基本は「ブラシで汚れを落とすこと」と「シーズンに1度のクリーニング」です。
汚れが目立つ場合は、その都度手洗いやクリーニングを行ってもよいのですが、頻繁にクリーニングに出すと素材が傷ついてしまいます。また毎日着るとダメージが蓄積してしまうので、お気に入りでも数日に一度の着用に留めておきましょう。
6.洗濯に強いけれど汚れが落ちにくい「ポリエステル」
ポリエステルは強く型崩れしにくい優秀な合成繊維。その一方で汚れが落ちにくく、黄ばみや黒ずみが目立ちやすい特徴もあります。ポリエステル素材の洋服を長くキレイに着用するコツは以下の通りです。
- シミがある箇所は洗濯前にシミ抜きを行う
- 汚れが移りやすいため、他の汚れ物を一緒にしない
- 洗濯物を入れすぎない
7.日光や熱に弱い「ナイロン」
ナイロンは絹にもっとも近いといわれる合成繊維です。弾力性があってしわになりにくく、カビや薬品にも耐性があります。さらに吸湿性が低く乾きやすく、扱い方は難しくありません。
ただしナイロン素材は熱や日光に弱い性質がありますので、陰干しが基本です。直射日光下に干すと色が変わってしまうリスクがあります。
8.水に弱く、縮みやすい「レーヨン」
レーヨンは木材パルプを原料とする合成繊維。吸湿性や吸水性に優れており、美しい光沢が特徴です。代用シルクとして、レーヨン素材の洋服は古くから使用されていました。
一方でレーヨンは木材パルプが原材料であるため、水に濡れると強度が低くなります。また洗濯で縮んだりしわになったりといった繊細さも持ち合わせています。水洗いすらできないものもあり、シルクを上回る扱いにくさです。
レーヨンをキレイに長持ちさせる方法は以下の通りです。
- レーヨン100%であれば基本的に洗濯機洗いはNG
- 手洗いの場合、縮みを避けるため洗浄時間は30秒程度とする
- アイロンをかけるときは当て布を使う
- 濡れた状態でアイロンをかけない
- 直射日光に当てない
- 湿気での縮みと虫食いを防止するため乾燥剤と防虫剤とともに保管する
その服は洗濯機で洗える?
さまざまな洋服の素材があり、素材によって洗濯できるかどうかが異なります。代表的な素材について、洗濯の可否をまとめましたので、参考にしてください。
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洋服の素材の多くが洗濯機NGであることがわかります。また洗濯機で洗えるものでも、干し方や使用する洗剤はバラバラです。アイロンのかけ方も大きく異なるので、見た目で判断せずに洗濯表示を毎回確認してからお手入れしましょう。
いずれの素材も「洗濯ネット」を使ったり、干すときにしわを取ったりといったケアが欠かせません。毎日の少しの手間が洋服の素材を長持ちさせます。
寒い冬も暖かく! 新しい温熱素材「CNTフィルムユニット」
これまでご紹介した洋服の素材は比較的古くから存在しているものです。そして日進月歩で進化しています。温熱素材「CNTフィルムユニット」も最新の素材です。
CNTフィルムユニットは、カーボンナノチューブで作られた素材に電流を流すと、全面が暖かくなる柔らかい素材です。これまでも電熱線を生地内に縫い込んだ洋服やブランケット、毛布などは販売されていました。
しかしいずれの製品も、火事や低温やけどの事故が毎年のように報告されています。ところがCNTフィルムユニットは、1万回以上の折り畳み実験でも機能に問題が無かったことを確認済み。また長時間の使用で自動的に電流が遮断されるシステムが導入されているので、低温やけどのリスクも軽減されています。
最新の技術が投入されているため、従来の電気毛布などよりも安全性が向上しており、素材としても扱いやすくなっているのです。
CNTフィルムユニットの扱い方
CNTフィルムユニットはなじみの薄い温熱素材のため、その扱い方は従来の布製品よりも難しいのでは?と考える方もいらっしゃるでしょう。ところがCNTフィルムユニットは、従来の服の素材よりも格段に扱いやすい部分が多いです。
先ほどご紹介したような代表的な洋服の素材は、 洗濯機で洗えなかったり頻繁に洗うとダメージを受けたりするものが少なくありませんでした。ところが、CNTフィルムユニットは、製品にもよりますが洗濯機での丸洗いが可能。40回以上の丸洗い実験に耐えています。
また非常に軽く取り回しが容易で、最も薄い部位は0.3mm。一般的な繊維製の洋服素材と同じように扱えます。CNTフィルムユニット製の下着まで開発されているほどです。
このようにCNTフィルムユニットは洗濯できる上に、耐久性、安全性も抜群。普通の洋服と同じように、素材によっては普通の洋服以上に使用できます。
まとめ
洋服の素材は数多く存在していますが、素材の数と同じように洗濯方法や扱い方の注意点があります。洗濯機で洗えるものもありますが、シルクやレーヨン、カシミヤやウールは洗濯機では洗えずクリーニングに出すか、手洗いするしかありません。
また洗濯機で洗えたとしても、洗剤が限定されていたり干し方に注意しなければならなかったりと、気をつけるべきポイントが多数存在します。
最新の温熱素材CNTフィルムユニットは、瞬時に暖かくなる新素材ではありますが、通常の洋服素材と比較しても扱い方が比較的簡単です。温熱素材は扱い方が難しいからと敬遠している方も、ぜひCNTフィルムユニットが使われた製品を試してみてください。