アパレル業界に関わっていると、ODM(Original Design Manufacturing)やOEM(Original Equipment Manufacturing)という言葉を耳にします。これらの違いは何でしょうか?
この記事ではODMに焦点を当て、ODMとは何か、活用するメリットや注意点などを解説します。今後ODM生産で活用が期待される新しい温熱素材についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
アパレル業界の「ODM」とは
まずODMとは何でしょうか。これは「Original Design」とあるように、メーカーより商品デザインから委託され、製造工程までを代行する業種のことです。その生産方法を「ODM生産」、ODMを行う会社を「ODM企業」と呼びます。
ODM企業に委託するメリット
ではODM企業にデザインから委託するメリットはなんでしょうか?それは主に3つあります。
- パタンナーやデザイナー不在でもアパレル製作が可能
- スピーディーな生産が実現しやすい
- コンペを実施することもできる
それぞれ内容を説明します。
パタンナーやデザイナー不在でもアパレル製作が可能
1つ目は、企業にパタンナーやデザイナーがいなくてもアパレルやグッズが製作できることです。
近年は飲食店や異業種のメーカーなどが、アパレルやグッズを製作する機会が増加しています。小ロットで自社ブランドに合ったアパレルを製作したいと思っても、アパレルの知識のあるメンバーがいないと、なかなか円滑に製作できないでしょう。
しかしODMを利用すれば、デザインからプロに製作を任せられるので、自分が思っているイメージをうまくアパレルに落とし込んでもらえます。もちろん製造も委託できるので、自社工場がなくても発注可能です。
スピーディーな生産が実現しやすい
2つ目は、スピーディーな生産が実現しやすいこと。ODM企業は自社でデザインから製造まで行える体制を整えているので、一度ODM企業と契約すれば、デザインから一気通貫でお任せできます。
途中でデザインや製品の仕上がりの確認などは必要ですが、基本的にはひとつのODM企業にすべて委託できるので、製作がスピーディーに進行しやすくなるのが特徴です。
コンペを実施することもできる
3つ目は、コンペを実施できる可能性があることです。どのODM企業に依頼するか迷っている場合や、なるべく発注額を抑えたい場合には、デザインやコスト感などを競わせる「コンペ」を実施するのがおすすめ。
知名度のある会社や個人ほど、よりよい条件でODM企業に発注できるでしょう。
ODM企業に委託するデメリット
メリットの多いODMですが、デメリットといえる点もあります。それは以下の3点です。
- 販売価格が上がりやすい
- デザイン・製造ノウハウが自社に残らない
- コストや品質のコントロールが難しい
これらの点に注意しつつ、上手にODMを活用するのがおすすめです。
販売価格が上がりやすい
1つ目は、販売価格が上がりやすいこと。ものづくりの初期段階からODM企業に委託するため、お任せする範囲が広い分コストが増加します。そのコストを回収するために、どうしても販売価格が高くなりやすいのです。
販売価格を抑えるためには、よりコストを抑えられるODM企業に発注したり、製造のみ委託するOEMへ切り替えたりする方法があります。
デザイン・製造ノウハウが自社に残らない
2つ目は、デザインや製造に関するノウハウが身につかないことです。もちろん各工程を横から確認することはできるので、簡単なノウハウは理解できるでしょう。しかし実際に業務を行うことで理解できる部分は、わからないままかもしれません。
もし今後自社でアパレル製作を考えているのであれば、委託する範囲を少し狭めるか、自社製作に切り替えて外部デザイナーやプランナーを招き入れることも検討するといいでしょう。
コストや品質のコントロールが難しい
3つ目は、コスト・品質のコントロールが難しいことです。ODM企業に発注する時点で見積りはもらうものの、実際に製造が進むと当初の予定より金額が増加することはよくあります。
また製造する工場が海外など遠方の場合、品質チェックができる回数やサンプル数が少なくなる傾向も。クオリティにこだわりたい場合は、製品を十分にチェックできるようなODM企業に委託するのがおすすめです。
ODMとOEMの違いは?
ここでODMとOEMの大きな違いも確認しておきましょう。あなたが作りたい製品や会社の状況に合った方はどちらでしょうか。
具体的なデザインや設計を任せられるかどうか
1つ目の違いは、具体的なデザインや設計を任せられるかどうか。デザインや設計から任せられるのがODM、委託せず自社で行うのがOEMです。
自社で明確なデザインがなく、デザインのラフから具体的なデザインを起こしてほしい場合は、ODM企業に依頼するといいでしょう。
受託側と委託側のパワーバランスが異なる
2つ目の違いは、受託する側と委託する側のパワーバランスが異なる点。ODMの方が委託する業務範囲が大きいため、ODM企業の方がより強い立場になりやすいです。
自社でしっかりと主導権を握っていたい場合は、任せるODM企業をしっかりと選定する必要があります。
アパレルのODMを依頼する企業選びのコツ
ではアパレルやグッズのODMを依頼する際、どうやって依頼先の企業を選べばいいのでしょうか?ODM企業選びのポイントは以下の3つです。
- デザイン力・設計力のある会社を選ぶ
- スピーディーに製造してくれる会社を選ぶ
- コミュニケーションが取りやすい会社を選ぶ
ぜひODM企業選びの参考になさってくださいね。
デザイン力・設計力のある会社を選ぶ
まずは、デザインや設計に長けたODM企業を選ぶことです。せっかく自社の製品を作るのですから、納得できるクオリティのものを生み出したいですよね。よってデザインや設計の力は必要不可欠です。
コンペを行うか、これまでの実績を見せてもらうなどして、ODM企業の実力を確認するといいでしょう。まずは小ロットで委託し、納得できたら追加発注をするのもおすすめです。
スピーディーに製造してくれる会社を選ぶ
次に、スピーディーに製造してくれるODM企業を選びましょう。クオリティを重視したい場合にも「この日までには製品ができあがってくれないと困る」という期日があるはずです。この期日にしっかりと間に合わせることができる委託先を見つけましょう。
コミュニケーションが取りやすい会社を選ぶ
そしてODM企業とのコミュニケーションの取りやすさも重要な選定ポイントです。例えば外国語の苦手な方が中国や韓国のODM企業へ委託した場合、コミュニケーションが難しい可能性が高いです。
通訳を入れないのであれば、日本国内のODM企業へ依頼した方が安心できるかもしれません。
また日本のODM企業の中でも、電話やメール、チャットなどでいつでも連絡が取りやすいODM企業の方が安心感のある対応をしてもらいやすいです。あなたの求めるコミュニケーション環境に合った委託先を探してみてください。
検品体制が万全な会社を選ぶ
もうひとつ重要なのが、検品体制が万全なODM企業を選ぶことです。製品のクオリティは最終的な検品によって確認されます。もし少人数で多くの発注を受けている工場や、検品への意識が疎かな工場を利用している企業だと、検品での漏れが発生するかもしれません。
検品体制が万全かどうか、発注前にしっかりと確認するのがおすすめです。
新しい温熱素材「CNTフィルムユニット」のODMが可能に!
寒い冬や寒い地域などでは、電気毛布や電気ベストなどの「電熱素材」や「温熱素材」を使ったアパレル製品が人気です。
こうした素材は従来、線状に発熱する「電熱線」を利用したものが多かったのですが、最近は面状に発熱する新しい温熱素材が登場しているのをご存じでしょうか?
この新しい温熱素材は「CNTフィルムユニット」。中国生まれの衣類向け温熱素材です。今後ODMにも多く活用されると見られています。
CNTフィルムユニットとは何か
CNTフィルムユニットは、ナノレベルでチューブ状に 組まれた組織・カーボンナノチューブがフィルム状になっています。この一端から電流を通すことで、フィルム全体が約1秒で暖かくなるという素材です。
これまで多く製品化されていた電熱線は、金属線を用いているため素材がごわついたり、断線による漏電の危険性などがありました。こうした点を改善できるのがCNTフィルムユニットの特徴です。
開発した企業・JERNANOとは
このCNTフィルムユニットを開発したのは、中国企業のJERNANO(ジェイナノ)。JERNANO研究開発は2011年頃からすでに始まっており、すでに31件の特許を取得しています。
このJERNANOはODM生産の相談窓口を持ち、この温熱素材を使ったODM製品を生み出すサポートを実施中です。すでに日本支社も立ち上げられており、日本企業からの依頼を受け付ける体制を整えています。
CNTフィルムユニットのODMで実現できる製品とは?
CNTフィルムユニットを使ったら、どのようなODM製品が作れるのでしょうか。その一例は次の通りです。
- ダウンジャケット
- アンダーウェア
- サーモスタット毛布
- スマート枕
CNTフィルムユニットは、非常に薄いフィルム素材のため、アンダーウェアのような薄い素材への活用が可能です。
また一定時間利用すると自動的に電源が落ちる「低温やけど防止機能」や、異常な高温を検知する「安全機能」も搭載しているので、サーモスタット毛布やスマート枕など睡眠時に使用する製品への活用も期待できます。
まとめ
アパレルやグッズのODM生産は、デザインから製造まで一気通貫で任せられる利便性が特徴です。一方で、任せる範囲が広いからこそコスト増につながる恐れもあるため、あなたの意向に合ったODM企業をじっくり選ぶとよいでしょう。
新しい温熱素材である「CNTフィルムユニット」は、今後多くのODM生産に活かされる可能性があります。ぜひあなたの製品への活用も検討してみてくださいね。
ODM・OEM生産を検討される方は、以下よりお問い合わせいただけます。
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