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電熱線について
電熱線の温度はどれくらい?低温やけどとの関係や代用できる新素材を解説!
電熱線の温度はどれくらい?低温やけどとの関係や代用できる新素材を解説!

電気を通すことによって熱を生み出す「電熱線」。周囲の温度を上昇させるので、すでにさまざまな電化製品に活用されています。しかし電熱線には「低温やけど」などの危険性があることはご存じでしょうか。

便利な製品を正しく長く利用するためにも、この記事では電熱線によって低温やけどが起こるメカニズムなど、電熱線にまつわるリスクについてわかりやすく解説します。

また、こうしたリスクをカバーするような新素材「CNTフィルムユニット」も紹介しますので、ぜひ今後の商品選びの参考にしてくださいね。

電熱線の温度はどれくらい?電熱線と温度の関係性

そもそも電熱線自体の温度はどれくらい高くなるのでしょうか。電熱線と温度の関係性から解説します。

電熱線自体の温度は1000度以上まで上がる!

まず電熱線は、電気抵抗の大きなニクロムなどの金属でできています。この電熱線に電流を通すと、電熱線は発熱し、熱エネルギーを生み出します。そしてその熱エネルギーが伝わって、周囲の物質や空気の温度が上昇するという仕組みです。
このときの電熱線の温度は、流す電流や電圧、電熱線の長さなどによって変動します。よって一概に「電熱線の温度はこれ」とお伝えするのは難しいのです。
しかし実際に製品化された電熱線は、以下のような温度まで上昇します。

    JISで規格化されている発熱線の最高使用温度(JIS C 2520参照)は以下のようになっています。 「電熱用ニッケルクロム線」:約1100℃ 「電熱用鉄クロム線」:約1250℃。しかし、これがシーズヒーターの最高使用温度にはなりません。 絶縁粉末(マグネシア MgO)の絶縁抵抗特性を基準に考えると、シーズヒーターとしては800℃程度までが継続して使用できる上限と言われています。但し他の制約も考慮し、一般的には「600℃程度」まで、とお考えください。

この記載を参考にすると、ヒーター製品に使用されている電熱線は、最高で1100〜1250度まで到達するようです。しかしこの温度では、電熱線を覆う絶縁体(電気を伝えない物体のこと)が溶けてしまうため、一般的には600度程度に抑えられている、とのことでした。
つまりさまざまな電化製品に使用されている電熱線は、相当な高温にすることができますが、安全な温度になるようコントロールされています。上記の例でも、安全性を考えて実際はもっと低温で利用されているはずです。

電熱線がよく利用される電気毛布。温度はどれくらい?

では電熱線がよく利用される製品・電気毛布の温度はどれくらいに設定されているのでしょうか?3商品の温度設定を調べてみました。

  • 電気毛布A(アイリスオーヤマ 電気毛布 ひざ掛け) :約40〜約50度
  • 電気毛布B(パナソニック 洗える電気ひざ掛け くるけっと) :約37〜約44度
  • 電気毛布C(エレコム エクリアwarm USBブランケット) ・最大約42度

総合すると、電気毛布など肌に直接触れるような製品は、40度前後に調整されていることがわかりました。
先ほどの電気ヒーターの温度と比較して考えるに、電熱線の温度は使われる電化製品によってかなり異なるようですね。

電熱線の温度が引き起こすリスク「低温やけど」

電気毛布などの電化製品は人肌に近い低温に設定されていますが、こうした電化製品が思わぬやけどにつながる可能性があります。それが「低温やけど」。

低温やけどとは

    約40〜50度で起こるやけどのことです。
    低温やけどは、短時間なら問題にならないような低温の物体に、長時間ずっと接触することで起こります。「あちっ!」とすぐに離すような温度ではないので、自覚症状が現れるまでに時間がかかるのが特徴です。

低温やけどで厄介なのは、皮膚の表面よりも皮膚の奥の脂肪細胞まで損傷が広がりやすいこと。そのため高温でのやけどよりも重症化しやすく、治療期間が数ヶ月に渡る可能性があります。

やけどの深さ(深度)は、肌の表面に近い方から、Ⅰ度、Ⅱ度(浅)、Ⅱ度(深)、Ⅲ度と表現されます。
最も浅いⅠ度のやけどでは、皮膚の赤みや痛みが強いですが、数日経過すればよくなり、やけどの跡も残りません。Ⅱ度のうち浅めのやけどでは、水ぶくれや強い痛みが起こりますが、こちらも1〜2週間程度でよくなります。

しかしⅡ度でも深いやけどだと、痛みは生じにくいものの水ぶくれができ、治療には3〜4週間かかります。やけど跡も残ってしまう可能性が高いです。そして最も重傷のⅢ度のやけどでは、痛みだけでなく皮膚の感覚自体がなくなります。皮膚は黒や白に乾燥し、治療期間に1ヶ月以上を要します。やけどの跡も残ってしまうでしょう。

このような低温やけどを引き起こさないためにも、電気毛布や電気ソックスなどを使用する際は、タイマーをセットして長時間ずっと通電しないようにすると安心でしょう。
詳しくは医療機関の案内などを参考になさってください。 参考:恩賜財団済生会「冬場に注意 低温やけど」

電熱線の温度によるその他のリスク

これ以外にも電熱線の温度によるリスクがあります。このうち2つをご紹介します。こうしたリスクがあることを知った上で、正しく扱うのがおすすめです。

1. 火災を引き起こす可能性がある

1つ目のリスクは、火災を引き起こす可能性があることです。
例えばヘアドライヤーは電熱線が使用された代表的な製品ですが、その温風吹き出し口は約140度まで達することがあります。ヘアドライヤーのスイッチを入れたまま布団の上に置いておくと、この吹き出し口の熱が布団に引火して、発火する可能性も!
また電熱線を使用した電気ヒーターは、ガス漏れの心配がなく安心できるかもしれません。しかしその熱は高温になるので、燃えやすいものを近くに置いておくと引火してしまう危険があります。
便利な電化製品ですが、その熱が持つ危険性を理解した上で利用すると安心ですね。

2. 脱水症状を引き起こす可能性がある

2つ目のリスクは、脱水症状を引き起こす可能性があることです。

脱水症状とは

    体内の水分(体液)が不足している状態のことです。
    脱水症状は暑い夏に起きるイメージかもしれませんが、寒い冬にも空気の乾燥や水分の補給不足、そして電気毛布などによって汗をかくことで起こる可能性は十分にあります。

もし次のような症状が出たら、まず水分を補給しましょう。

  • 頭が痛い
  • 集中力が低下しがち
  • 日中なのに強い眠気がある
  • 食欲不振
  • 腹部の不快感
  • 胃がもたれる
  • 体に力が入りにくく感じる
  • 筋肉痛がある
  • 足がつる

電熱線のデメリットに対応した新素材「カーボンナノチューブフィルム」

電熱線はとても便利な素材ですが、いくつかの注意点があります。こうしたデメリットをカバーする新しい素材がすでに生まれ、製品化され始めているのをご存じでしょうか。それがJERNANOが開発した「カーボンナノチューブフィルム(CNTフィルム)」です。

カーボンナノチューブフィルムとは

    ナノレベルでチューブ状になっている炭素素材を組み合わせ、フィルム状にした素材。電熱線は電気を通すと線上が暖かくなりますが、このフィルムは一面が一様に暖かくなります。

これ以外にも電熱線にはない特徴がいくつもありますので、それぞれ解説していきます。

低温やけど回避機能、温度制御システム

電熱線のリスクとして挙げられていた低温やけどですが、CNTフィルムユニットにはこれを回避する機能が備わっています。
このフィルムは一端から電気を流すことで面全体が暖かくなりますが、電源を入れてから一定期間経つと、自動的に電流が止まります。こうした安全機能によって、長時間低温に触れるのを防ぎ、低温やけどのリスクを抑えるのです。
また温度制御システムにより、何らかの不具合で製品が高温になるのも防ぎます。これらの機能によって製品を安心して利用できるように工夫しているのが特徴です。

スマートウォッチ・スマートフォンを使用した遠隔コントロール

電熱線を用いた製品から少し目を離していたために、火事の原因になることがあります。しかしこのカーボンナノチューブフィルムは、スマートウォッチやスマホから遠隔操作できる機能がついています。

例えばこれから電気毛布を使うときに、事前に遠隔操作で電気毛布を暖めておくことも可能です。またもし火災などの危険を感じたら、少し離れた場所からでも電源をオフにできます。さまざまなリスクを防ぎながら、より便利に利用できる機能です。

折り曲げ可能、水洗いできるヒーター

電熱線は金属なので、折り曲げすぎると断線する可能性があり、電化製品は水分による故障も起きやすいです。一方このCNTフィルムユニットは、1万回以上の折り曲げに耐える実験結果が出ており、断線(断面)の危険性が極めて低いです。
またヒーター自体を水で丸洗いできるのも特徴のひとつ。実験では40回以上の丸洗いに耐えています。布製品に活用されたときでも、定期的に洗えるので衛生的です。

まとめ

電熱線の温度は、1000度以上の超高温まで上げられますが、電化製品に活用されるときは、40〜50度、数百度など製品に合わせて調整されています。しかし電気を通す以上、低温やけどや火災などの原因になってしまう可能性は否定できません。低温やけどや脱水症状などが起こる理由を知り、安全に電化製品を利用するのが大切です。

こうしたリスクを解消すべく新開発された「カーボンナノチューブフィルム」には、低温やけどの防止機能や温度制御システム、スマートウォッチやスマホを活用した遠隔コントロールなどさまざまな機能を搭載。今後多くの製品への利用が期待されます。

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